2020年9月9日更新
9月9日、10時に前田建設工業株式会社さんのホームページ上にて、同社の(仮称)山形県鶴岡市風力発電事業計画が取り下げられたことが発表になりました。
まだ提出いただいていない署名は、ぜひご提出ください。
いただいた署名、に関しては、今後の地域における同様の取り組みへの申し入れなどに生かさせていただきたいと思います。
前田建設工業社さんも、経緯はあれ、良い判断をしてくださったことに、感謝いたします。
現地では、別の企業による風況調査が行われているとの情報も入っております。ひき続き、油断なく注視していく必要があります。
前田建設工業株式会社(東京千代田区)が出羽三山の山麓二ヶ所に大規模な風力発電のための風車建設を計画しています。
対象地域は、北部地域は羽黒町手向~添川~庄内町三ヶ沢にかけて14基。
南部は黒森山(930m)~爪田沢にかけて26基、面積で約2,296haです。
最大発電出力は40基で12万8千kw、‘24年7月に着工、’27年に営業運転開始を予定しており、県内最大規模となりそうです。
8月7日から一ヶ月間、鶴岡市役所や各庁舎で計画の縦覧が行われておりました。
前田建設のホームページでも閲覧が可能でしたが、一般の方が簡単に閲覧が出来なかったこともあり、不親切だという指摘も届いていたのか急遽、ホームページ上では一週間延びて14日までとなったようで、建設に関する意見はメールであればこの日まで受け付けるとのことです。
まだ日にちがありますので、会員の皆様も疑問や質問がありましたら、どのようなことでももよろしいと思いますので、どしどし質問意見を送って下さい。
当会ではこの計画を検討した結果、9月1日付けでこのほど意見書を事業主に提出しました。
前田建設工業株式会社 御中
出羽三山の自然を守る会
会 長 太 田 道 徳
(仮称)山形県鶴岡市風力発電事業計画段階環境配慮書に対する
意見の提出について
表記の件について、下記の通り意見を提出します。
記
・事業の南側(月山山麓)について
意 見
当地域は高標高地を含み、開発は行うべきではありません。
理 由
当地域は標高930mの豪雪地帯であり、ブナ林の原生的な植生があります。
ここは月山地域ブナ林の核心部と言うべき所です。
当会は会設立の1970年から国有林におけるブナ林の無謀な伐採中止を求めて
運動に取り組んできました。
その結果、当地域のような豪雪地帯におけるブナ林伐採とその後の植林は、標高
でみると500mが限界であると経験則で確認することが出来ました。
林野当局でもこのような豪雪地帯の高標高地でのブナ林伐採については1985
年頃から行っていません。
ブナ林は生物多様性保全の視点でも大きな役目を担っており、当地域はツキノワ
グマなどの野生動植物の棲息に欠かすことの出来ない存在であり、月山北部のイヌ
ワシ営巣地にも近く、その生息に多大な影響が考えられます。
加えて、ブナ林は水源涵養機能が高く、治山治水、土砂流失保全に大きな役目を
果たしており、当地区のような急峻でブナ林伐採後の森林回復困難な地帯では土砂崩
壊、流失等の恐れがあり、ブナ林の伐採を伴う開発計画は実施すべきではありません
・事業の北側(羽黒山山麓)について
意 見
当地域は住宅地や猛禽類の営巣地に近く、開発は行うべきでありません。
理 由
鶴岡市の風力発電建設に関するガイドラインでは住宅地から600mの距離を
置くようにしております。600mでも近すぎると考えられますが、計画されて
いる事業はガイドラインよりも近く、低周波に伴う問題発生が予想されます。
また隣接地には貴重種のイヌワシやクマタカが営巣しており、バードストライ
クが予想されます。
・両事業について1
意 見
出羽三山の神域に計画され、景観の上で大きな問題を含んでおり、開発は行う
べきでありません。
理 由
事業計画されている地域の北部は羽黒山に、南部は月山に隣接しており、神域
として景観の上で風力発電施設は異質な存在であり、受け入れることが出来ませ
ん。
・両事業について2
意 見
下流の集落、農地に洪水発生の誘因になる恐れがあり、開発は行うべきでありま
せん。
理 由
南部月山山麓の開発予定地は藤島川、今野川の、また北部羽黒山山麓の開発予定
地は京田川のそれぞれ上流にあり、開発による樹木の伐採や道路開削は土壌の保水
力を消失し、土壌崩壊・流失の原因にもなり、洪水の恐れが想像されます。
「出羽三山の風車建設に反対する会」結成 風車建設「反対署名」協力を!!
8月30日、この風車建設に色々な面で危惧している団体・個人が羽黒町「いでは文化記念会館」に集まり、上記団体を結成し、翌日記者会見を行いました。
地元羽黒町手向地区の山伏である星野文紘さん、宿坊組合長の粕谷典史さん、羽黒町観光協会会長の星野博さん、山大農学部の菊池俊一さん、当会の佐久間憲生の5人が呼びかけ人代表となり、反対の署名活動に取り組む事が確認されました。
当面、9月18日頃に鶴岡市環境・景観審議会が開催されるということで9月16日を第一次集約と決め、全力を注ぐことになりました。
多くの皆様からも絶大な協力をお願いします。
可能であれば一枚は早急に9月16日まで、当会に何らかの方法で届くようにお願いします。
もう一枚は息の長い署名活動ですので、追々取り組んでいただきたいと思います。
以下のURLが出羽三山の風車建設に反対する会のHPです。
意見書及び署名用紙がダウンロード可能です。
経緯や最新情報も載っていますのでご確認ください
出羽三山の風車建設に反対する会 https://dewasanzan.net/
呼びかけ人代表5人の記者会見
鶴岡市長と県知事に反対署名と要望書提出
平成2年10月14日
鶴岡市長 皆 川 治 様
出羽三山の風車建設に反対する会
呼びかけ人代表
星野文紘(羽黒山伏)
粕谷典史(羽黒宿坊組合長)
星野 博(羽黒町観光協会長)
佐久間憲生(出羽三山の自然を守る会)
菊池俊一(山形大学農学部准教授)
要 望 書
日頃より、市政発展のためご活躍されておりますことに敬意を表しますとともに、出羽三山地域の環境保全について、特段のご理解と
ご支援を賜り感謝申し上げます。
さて、出羽三山周辺に計画されました県内最大級の大型風力発電事業が9月9日に取り下げられ、地元住民はもとより出羽三山に思いを
寄せる全国の方々は安堵したところであります。
しかしながら、現在の制度では地元の自治体が環境影響評価などに対する意見を述べるのみで計画を規制する手段がなく、事業者の意
向に委ねるしかないのが現状であります。今後とも出羽三山地域の自然と景観、文化を損ねるような風力発電等の計画が提出されること
のないように下記のとおり要望いたします。
記
1.地元住民が知らないまま前田建設工業(株)の計画段階環境配慮書が縦覧に供されたことで署名運動にまで発展しましたが、これま
での経緯を説明してほしい。
2.「鶴岡市における風力発電設置等に係るガイドライン」を直ちに見直し、地元自治体として構想段階から関与し規制できる仕組みを
早急につくってほしい。また、国、県に対し同様の仕組みづくりを働きかけてほしい。
3.今後、鶴岡市が同様の構想を知った段階で早期に市民へ情報を公開し、周知してほしい。
県知事(環境エネルギー部長)に要望書提出 (10/28 県庁にて)
要 望 事 項
1.山形県として関与し、規制できる仕組みを早急につくってほしい。
2.地元自治体が風力発電等の計画の構想段階から関与し、規制できる仕組みづくりを国に働きかけてほしい。
要望書への回答 …<杉澤県環境エネルギー部長>
要望の1点目ですが、県として今回の風力発電は色々今後の教訓にすべき点があったと思います
この中で風力発電可能性調査の表現なり内容を見直すべき点があるのではないかということで出羽
三山周辺をまず候補地を見直したうえで、更に全体として各市町村に改めて確認し風力発電にふさわしい土地と言えない所の候補地を外しました。
県として関与という点では、環境アセスの制度だけではなかなか対応できないところについては、
何らかの関与ができる仕組み、例えば事前に事業者に対して合意形成を求める手続きなどどういう形ができるのかということの検討を始めています。今の県のエネルギー戦略の中でエネルギー推進プログラムの見直しの時期に当たっており、そこで専門家の方々の意見を伺う場があります。そこでこの件についてもご意見を伺っているところであります。そういった専門家の意見を踏まえながら検討して参りたいと思っております。
事業者が地元の住民の方々に対して、今回説明なり合意形成の点が非常に不足していたのではない
かということで、環境アセスメントの制度も含めて事業者にも丁寧に説明するよう求めていきたいと思いますし、県としても住民説明の場などお借りして周知に努めたいと思っております。
要望事項の2番ですけれども、これはやはり本県の事例もあったわけですが、全国でも風力発電と太陽光発電とは、地元の自然環境を守る、あるいは災害を防止するという観点で住民との合意がうまくできていない事例が全国的にいろいろな所で発生していることから、全国知事会でも地元住民との合意形成に関する仕組みについて検討してほしいということで、9月に全国知事会の中にプロジェクトチームがあり、ゼロカーボンに関するチームですが、吉村知事も参加しておりまして、チームとして知事会長とチーム長のジョイントで小泉環境大臣に提言をさせていただいております。
こういう問題は1県で動くよりも歩調を合わせて全国知事会の場で利用した方が有効だと思います
ので、そうした立場で認識を共通にして今後とも働きかけを講じていきたいと思います。